性感染症|ゆきがや泌尿器クリニック|大田区東雪谷の泌尿器科、石川台駅徒歩2分

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性感染症・性病(STD)

性感染症|ゆきがや泌尿器クリニック|大田区東雪谷の泌尿器科、石川台駅徒歩2分

梅毒

梅毒

Treponema pallidum(トレポネーマ・パリデュム)と呼ばれる細菌によって引き起こされる性感染症の一種です。この病気は、性行為によって感染が広がることが一般的ですが、妊娠中や出産時に母子感染も起こります。近年著しい増加が問題視されており正しい知識を個人が持つことと予防を心がけることが非常に重要と考えられています。症状が一度出た後に自然軽快し、期間を空けて再度症状が出ることがあるため注意が必要です

感染経路

梅毒は、傷のついた皮膚や粘膜を介して伝播されます。主に性行為によって感染が広がりますが、感染者の血液が健康な個人の体内に直接入ることによる感染もあります。また、妊婦から胎児への感染もあります。

症状

梅毒は通常、3つの段階で進行します。

初期段階

潰瘍や疼痛のない痛みのない潰瘍(シャンクロー)が発生します。

第2段階

皮膚の発疹、粘膜の潰瘍、発熱などの全身的な症状が現れます。

第3段階

進行性の症状が発生し、内臓や神経系に損傷を与えることがあります。

診断と治療

血液検査や患部からの検体検査が用いられ、診断が行われます。治療は抗生物質(主にペニシリンなど)が効果的です。近年最も増加している性感染症として問題視されている疾患です

予防

安全な性行為(コンドームの使用)、感染が疑われる場合の早期検査、感染者との性的な接触の制限などが予防策として挙げられます。

梅毒は放置されると本人だけではなく、妊娠される方はお子様にも重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、思い当たることがあるときには早期の検査と治療が重要です。性感染症に対する予防として、定期的な健康診断や安全な性行為が最も重要です。

淋病

Neisseria gonorrhoeae(ネイセリア・ゴノレエ)と呼ばれる細菌によって引き起こされる性感染症の一つです。

感染経路

感染者の分泌物(精液、膣分泌物、尿)を介して性的に伝播されることが一般的です。感染は、性行為において口、膣、肛門、尿道などの粘膜に触れることで起こります。

症状

淋病の症状は多岐にわたり、感染部位によって異なります。男性の場合、尿道感染が一般的で、尿道からの膿や尿道の激しい痛みが現れます。女性では、膣内感染が主な症状の原因であり、腟の異常分泌、尿道感染、下腹部の痛みが見られることがあります。感染が肛門や口腔に広がることもあります。

合併症

放置すると、尿道や膣の炎症、不妊症、子宮内膜炎、腹膜炎などの合併症を引き起こす可能性があります。また、新生児に母子感染が発生することもあります。

診断と治療

尿検査や尿道分泌物の検査で感染の診断が行われます。抗生物質が効果的な治療法とされていますが、感染菌が抗生物質に耐性を持つこともあるため、適切な薬物療法が必要です。点滴での治療が推奨されているため抗菌薬の点滴投与を行います

予防

安全な性行為(コンドームの使用)、感染者との性的な接触の制限、早期の検査が予防策として重要です。

 

クラミジア

クラミジア(Chlamydia trachomatis)と呼ばれる細菌によって引き起こされる性感染症です。

感染経路

クラミジア感染症は、感染者の生殖器、口腔、肛門から分泌される体液を介して性的に伝播されます。また、感染者の目に触れた手を通して結膜組織に感染することもあります。そして非常に症状が軽い場合が多く放置されてしまうことも多いのが問題と考えられます

症状

クラミジア感染症はしばしば無症状であることがあり、特に初期には自覚症状がないことが一般的です。症状が現れる場合には、尿道炎、膀胱炎、腟炎、肛門炎などが見られることがあります。

合併症

放置されると、クラミジア感染症は尿路感染症、骨盤腔炎、子宮内膜炎、不妊症などの合併症を引き起こす可能性があります。また、新生児にも感染が移ることがあります。

診断と治療

クラミジア感染症の診断は尿検査や生検、組織培養、などが行われます。抗生物質が一般的に効果的な治療法とされています。特に大切なことはクラミジア感染はやや症状が分かりにくいためパートナーにも感染している可能性があることを念頭に置くことです。

予防

安全な性行為(コンドームの使用)、感染者との性的な接触の制限、早期の検査が予防策として挙げられます。

クラミジア感染症は無症状で進行することが多いため、定期的な検査や感染が疑われる場合の早期診断が重要です。日々のケアと予防策の実践が感染をご自身の安全を守ることになります。

 

性器ヘルペス

性器ヘルペスとは?

ウイルスの一種である単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)を病原体とする性感染症の一つです。単純ヘルペスウイルスの感染によって、性器や周辺に水疱性病変や潰瘍が形成され、強い痛みを伴います 

ヘルペスウイルスに一度感染すると、体内からヘルペスウイルスを取り除くことはできません。ヘルペスウイルスは神経節などに潜伏感染します。そして過労やその他の感染症により宿主の免疫が落ちた時に再度活性化し、再び神経をつたって、粘膜や皮膚に病変を表します。そのため、一度ヘルペスウイルスに感染した人は、長年にわたって再発を繰り返します。そして罹患年齢は比較的広い年齢層にみられます。

検査

感染から2〜10日の潜伏期間おいて発症する場合が多いです。
性器ヘルペスの診断は視診、迅速キットによるウイルス検査、血液検査があります。性器ヘルペス症状が強くでているときは当院では迅速検査キットを用いた検査を施行しています。検体採取から10分程度で結果をご説明できるため速やかに治療に入ることが可能です 

治療

バラシクロビル(バルトレックス)、アシクロビル(ゾビラックス)、ファムシクロビル(ファムビル)などの抗ヘルペスウイルス薬を使用し治療を行います。どれを服用しても治療効果は大きな差はありませんが難治性のものも存在するため症状を見ながら投薬日数を調整いたします。ヘルペスがある部分の痛み症状が強いことも多いため我慢せずに早めにご相談いただければと思います

マイコプラズマ ウレアプラズマ

 

1. マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?

マイコプラズマウレアプラズマは、細菌の一種でありながら、通常の細菌とは異なり細胞壁を持たない特徴があります。そのため、一般的な抗生物質(ペニシリン系など)が効きません。

このうち、特に性感染症と関係が深いのは以下の2種類です。

① マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)

  • 男性:尿道炎の原因となることがある
  • 女性:子宮頸管炎、骨盤内炎症(PID)を引き起こすことがある
  • 抗菌薬耐性が問題となっており、治療が難しいこともある

② ウレアプラズマ(Ureaplasma urealyticum / Ureaplasma parvum)

  • 常在菌としても存在するが、一部は性感染症の原因になる しかし本当に加療の必要があるかはケースによって考える必要があると思っています
  • 男性:尿道炎を引き起こすことがある 原因のわからない尿道不快感として発見されることがある)
  • 女性:膣炎・子宮頸管炎・流産との関連が疑われている

2. 感染経路

  • 性行為(膣性交・口腔性交・肛門性交)による感染
  • 母子感染(分娩時に産道を通じて新生児に感染することがある)
  • 無症状の人からの感染も多い(特に女性は気づかないことが多い)

3. 症状

男性の症状

  • 排尿時の痛み(尿道炎)
  • 透明~白色の分泌物が出ることがあるが割合はすくない(膿が少ないことが多い)
  • 症状が軽い場合もあり、放置すると長引くこともあります

女性の症状

  • おりものの異常(増加・異臭)
  • 不正出血
  • 下腹部痛(進行すると骨盤内炎症)
  • 自覚症状がないことも多い

4. 診断(検査方法)

  • 核酸増幅検査(PCR法など):最も確実な検査方法はPCRです。保険診療としての取り扱いはありません
  • 尿検査・膣分泌物検査:検体を採取して検査する培養法です 

5. 治療(抗生物質)

マイコプラズマ・ジェニタリウムの場合

  • 第一選択:アジスロマイシン(マクロライド系)
  • 耐性例 :ミノサイクリン(テトラサイクリン系) または シタフロキサシン(キノロン系)

※最近はアジスロマイシン耐性の増加が問題になっており、治療に難航するケースもあるといわれております。

ウレアプラズマの場合

  • 症状がある場合のみ治療を検討します(常在菌の可能性もあるため)
  • 第一選択:ミノサイクリン(テトラサイクリン系)
  • 代替薬 :シタフロキサシン(キノロン系)

6. 予防方法

  • コンドームの使用(性感染症のリスクを減らせるが、完全に防ぐのは難しい)
  • 定期的な検査(無症状の感染を早期発見)
  • パートナーと一緒に治療(片方だけ治療すると再感染する可能性がある)

7. まとめ

マイコプラズマ・ジェニタリウム尿道炎や子宮頸管炎の原因になり、耐性菌が増加しているため治療が難しいことがあります 
ウレアプラズマは常在菌としても見られるが、尿道炎や膣炎の原因になることがある ただし治療を要するかはケースごとの判断が重要と考えます
検査はPCR法が主流で、症状があれば抗生物質で治療するが、耐性菌の問題もあるため専門医の診察をきちんと受けましょう
予防にはコンドームと定期的な検査が重要とされています

上記の性感染症は無症状のことも多く、気づかないうちに感染を広げてしまうことがあります。不安がある場合は早めに検査を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。

HIV

HIV感染症:日本の診療ガイドラインに基づく疫学、診断、治療

  1. 疫学
  • 世界および日本の状況
  • 世界的状況:
    • WHOによると、2022年時点で約3,900万人がHIVに感染。
    • 新規感染者数は減少傾向だが、特定地域や集団で依然高い。
  • 日本における状況:
    • 厚生労働省エイズ動向委員会の報告では、毎年約1,000人前後が新たにHIV感染またはエイズ(AIDS)を発症。
    • 2023年時点では若年層(20代〜30代)および男性同性愛者(MSM)の割合が高い。
    • 潜在的な未診断例が依然として課題。
  1. 診断
  • HIV感染の診断基準
  • 検査の流れ:
    1. スクリーニング検査
      • HIV抗体/抗原同時測定検査(第4世代検査):
        • p24抗原とHIV抗体を同時に検出し、感染24週で陽性化。
      • 迅速検査キット
        • 指先採血または口腔粘膜液で30分以内に結果判定。
    2. 確認検査
      • スクリーニング陽性時はWestern blotまたは**核酸増幅検査(NAT**で確定診断。
      • 偽陽性・偽陰性を排除。
  • 感染期分類
  • 急性期(ウインドウ期):感染24
  • 無症候期(慢性期):数年〜10年以上
  • エイズ発症期CD4陽性T細胞が200/µL以下、または指標疾患(ニューモシスチス肺炎など)発症
  1. 治療
  • 治療目標
  • ウイルス量(HIV-RNA)を検出限界以下に抑える
  • CD4陽性T細胞数を維持・増加させ、免疫機能を保つ
  • 生活の質(QOL)を向上させる
  • 抗レトロウイルス療法(ART: Antiretroviral Therapy
  • すべてのHIV感染者に速やかに治療開始が推奨される。
  • 3剤併用療法が基本:
    • NRTI(核酸系逆転写酵素阻害薬) × 2剤
    • INSTI(インテグラーゼ阻害薬) × 1剤(現在の主流)
  • 主な薬剤例:
    • NRTI: テノホビル(TDF/TAF)、エムトリシタビン(FTC
    • INSTI: ビクテグラビル、ドルテグラビル
  • 治療開始の基準
  • CD4数に関わらず全例で治療推奨U=Uの概念:Undetectable = Untransmittable
  • 早期治療が免疫機能温存・合併症予防に有効。
  • 治療モニタリング
  • ウイルス量(HIV-RNA:
    • 治療開始後13ヶ月ごと、その後36ヶ月ごと
  • CD4陽性T細胞数:
    • 3〜6ヶ月ごとに測定
  • 副作用・合併症:
    • 腎機能、肝機能、骨密度、心血管リスクなどを定期的に評価
  1. 合併症と予防
  • 日和見感染症(ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症)
  • 悪性腫瘍(カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫)
  • 予防:B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンなど
  1. 日本における公的支援
  • 医療費助成制度(自立支援医療)
    • HIV薬の医療費負担を軽減
  • 匿名・無料のHIV検査(保健所・検査機関)
    • 定期的な検査と早期発見が重要

 まとめ

  • HIV感染症は早期診断・治療で寿命が大幅に延び、QOLも改善。
  • 日本の診療ガイドラインに沿った即時ART定期的なモニタリングが鍵。
  • U=U(検出不能=感染させない)を理解し、偏見のない社会的支援が不可欠。