ボトックス膀胱壁内注入療法について
ボトックス膀胱壁内注入療法について
尿意切迫感を必須とし、通常は頻尿および/または夜間頻尿を伴う症状症候群であり、切迫性尿失禁は必須ではない。尿失禁を伴う場合(OAB-wet)と尿失禁を伴わない場合(OAB-dry)がある。また、その診断のためには尿路感染および局所的な病態を除外する必要がある とされています。
代表的な症状として切迫性尿失禁や尿意切迫感、異常な回数の頻尿などがあります。
国内では40歳以上の日本人の約13%(8人に1人)が過活動膀胱の症状を持つといわれております。第一選択は内服治療が中心ですが、効果が不十分、口渇、便秘などの副作用のためうまく継続できない場合もあります。
難治性の過活動膀胱に対する新しい治療法として、ボトックス膀胱壁内注入治療が2020年4月に保険適応となりました。当院では薬の内服で症状の回復が困難な難治性の過活動膀胱に対して、ボトックス療法を考慮いたします。
日帰りでの治療が可能で、一回の投与で治療効果は約6~9ヶ月持続するといわれています。効果が減弱した場合も3ヶ月以上間隔を空けて繰り返し治療が可能です。
治療は日帰りで行います。治療終了後の経過観察の時間も入れて約2時間程度の時間をいただきます。お時間にゆとりをもってお越しいただく必要があります。
膀胱内に局所麻酔薬を注入し、麻酔を行った後に、軟性膀胱鏡を挿入して膀胱の筋肉に専用の細い針を用いてボツリヌス毒素を20箇所~30箇所注入します。
過活動膀胱では20箇所、神経因性膀胱では30箇所に分けて注射します。治療時間は麻酔も含めて20~30分程度です。
軟性(柔らかい)膀胱鏡を挿入し、膀胱内を観察します。150ml程度の生理食塩液を注入して膀胱を膨らませ、膀胱粘膜にボトックスを注入していきます。基本的には、20カ所に注入を行います。ボトックスの注入時間は5分程度です。
膀胱鏡を抜去し、治療は終了です。
お着替えいただいた後、排尿して残尿量の測定をエコー検査で行います。
血尿の程度や排尿状態を確認して問題なければ終了です。
排尿困難感が強い場合は導尿を行います。しばらく定期的に外来通院で経過を診させていただきます。
ボトックスの効果は、2、3日〜1週間前後で効果が現れます。
ボトックス治療直後は血尿、排尿時痛を自覚することがありますが、通常は2~3日以内に改善します。また、一次的に排尿が困難となり導尿が必要になることもあります。一定の確率で膀胱炎症状を起こすこともありますので、予防的に抗菌薬を内服していただきます。
治療の効果が現れるのは2~3日程度から1~2週間以内で、効果の持続期間は6〜9ヶ月程度と報告されています。1回目の効果が不十分な場合でも3ヶ月空けて2回目の治療をすることで症状が改善する事もあります。
治療後は定期的な通院で経過を診させていただきます。排尿状態や自覚症状に関するアンケート評価を行います。