皆さんはご自身のホルモンバランスに関して意識されたことはありますか?なんとなく気分が落ち込む、イライラする、とにかく元気がない。。。そんなことがあると誰かに『ホルモンバランスが崩れているんじゃない?』なんてことを言われたことがある方もいるかもしれません。男性にとっても女性にとってもとても重要な 性ホルモン 聞いたことはあるけれどこれは何なのか?簡単に説明すると、体のつくりを女性らしくしたり、男性らしくしたりする内分泌物質の呼び方の総称です。女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンが主なものとなります。今回はこのテストステロンが低下することによって引き起こされるLOH症候群(加齢男性 性腺機能低下症)について触れてゆきたいと思います。
男性ホルモンであるテストステロンは、一般的には20-30歳代にピークを迎え、その後は徐々に加齢に伴って減少してゆきます。 主に副腎と精巣で生成されています。LOH 症候群についても『テストステロン低下に伴う多臓器機能障害と理解される』とガイドライン上は記載があり、主な症状は全身倦怠感,性欲低下,筋力低下,ED,集中力低下,不眠,いらいら,早朝勃起の減少など多岐にわたります。また,それででなく加齢男性でのテストステロン減少が,抑うつ状態,性機能低下,認知機能の低下,骨粗鬆症,心血管疾患,内臓脂肪の増加,インスリン抵抗性の悪化,総コレステロール値と low density lipoprotein cholesterol(LDL)の上昇に関連し,心血管系疾患,糖尿病などの危険因子になる。なんてことが書いてあり、実に様々な調子の悪いことが起こってくるという事実があります。本邦と諸外国では性腺機能低下症の診断基準は異なっており,国際的には血中の総テストステロン値が 300 ~ 350ng/dL を治療介入の基準値としています 。一方,本邦で実施された 20 歳から 77 歳の男性 1,172 例を対象とした調査をもとに,加齢とともに減少する遊離テストステロン(free testosterone:FT)値を診断基準に用いており,FT 値が 8.5~ 11.8pg/mL を境界域,8.5pg/mL 未満を治療介入の基準値としていますが、完全に一律定まっていないところもあり症状に応じて治療を考慮するよう年々診療の方法の変化もみられております。
人間、年齢とともに誰でも変化をしてくるものだと思います。身近な家族や友人に会ったときに、なんだか変わってしまった、昔はこんな感じじゃなかったのに、、、なんてことを言われたら誰だって落ち込んでしまいます。でもそれ、実は自身の性格や身体上の問題ではなく、『ホルモンバランスの不調からくる変化』なのかもしれません。当たり前ですが目に見えてホルモン値が見える訳はないため、先に書いた症状が出たり、気になったりした場合はもしかしたら自分にも該当するかも!!と本人がまず気が付くことが大切です。そしてホルモンバランスが原因で出現している症状は努力や気合だけではどうにもならないため正しく診断することがとても大切です
まず行う検査としては
🌟問診(性欲 性機能 精神状態 日常生活スタイル 嗜好品など)
🌟身体診察(精巣サイズ等も含めて)
🌟採血によるテストステロン値の測定 その他ホルモンの測定
この結果により、治療をどのように行うかを決めてゆくわけですが治療はざっくり言って
🌟 生活指導
🌟 ホルモン補充療法
🌟 その他(漢方、サプリメントなど)
になるわけです。どの治療を行うのが適切であるかは所見によるため個人よって選択することが大切です。そのためのカウンセリングや身体診察は大変重要です。また安易にホルモンを投与すると精巣が長期的に委縮してしまったりすることもあるため、挙児希望があるかどうか、またその他の疾患の影響を本当に受けていないのかなど患者さん個人個人の生活背景にも目を向けて考える必要もあります。
この記事をお読みになった方でご自身がLOH症候群に該当するかもしれないと思う方がいらっしゃいましたら不安を抱えたままにせず間違っていてもかまいませんので一度ご相談いただければと思います。診断から治療まで当院で可能です。