膀胱炎 繰り返していませんか?|ゆきがや泌尿器クリニック|大田区東雪谷の泌尿器科、石川台駅徒歩2分

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コラム

膀胱炎 繰り返していませんか?|ゆきがや泌尿器クリニック|大田区東雪谷の泌尿器科、石川台駅徒歩2分

3月になり、暖かくなり、いよいよ頻尿の辛い季節から脱出!!。。。なんて思っていたところでまさかの雪で気温も冬に逆戻り。春まであと少し、皆さん体調管理にはお気をつけいただければと思います。

さて、今回のテーマは、『繰り返す膀胱炎』についてです。医学用語では反復性膀胱炎といわれています。

 

膀胱炎の基礎知識

膀胱炎そのものはどの年代でも発症するものであり、珍しい病気ではありません。

<代表的な症状>

①排尿時の痛み 

②トイレが異常に近くなる 

③強い違和感

 

<性別の差について>

膀胱炎の主な原因は、大腸菌などによる細菌(ばい菌)感染です。細菌が尿道口(おしっこの出口)から侵入すると、尿道を通って膀胱に到達し、膀胱内で細菌が増殖して膀胱表面の粘膜に炎症が起こることで発症します。

明確な統計はありませんが、膀胱炎は圧倒的に女性が多く、その理由のひとつとして考えられるのが、男性と女性で尿道の長さが違うことがあげられます。尿道が男性は約17〜20cmあるのに対し、女性では約3〜4cmしかありません。女性は男性に比べて尿道口から侵入した細菌が膀胱に到達しやすいのです。

また女性の場合、多くの細菌が常在する膣や肛門が尿道口と近いため、排便や性行為などによって尿道口から細菌が侵入しやすいというのも膀胱炎が女性に多い理由と考えられています。

反復性膀胱炎の原因について

反復性膀胱炎は主に細菌感染がメインで起こります 

反復性膀胱炎の原因菌

原因となる細菌には、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、腸球菌などがありますが、大腸菌が最も多くのケースで原因となっていることが多いです

非細菌性の要因

反復性膀胱炎の中には、細菌感染によらないものも存在します。例えば、尿路の解剖学的異常や膀胱過敏症、免疫機能の低下、ストレス、ホルモンの変化などが関与していることもあります。 特に更年期や糖尿病患者においては、免疫系の機能低下が細菌繁殖を助長し結果として膀胱炎として出てくることがあります

性的活動

性交渉は、女性における膀胱炎の原因の一つです。性器周辺の衛生環境の管理も膀胱炎を起こさないためには重要な要素となります。

主な治療法

反復性膀胱炎の治療には、主に抗生物質の投与が行われます。

抗生物質の投与 

尿中にいる細菌の種類を特定する細菌培養検査を追加して抗生物質との相性を確認できると一層治療としては正確なものとなります

予防的抗生物質投与

再発性膀胱炎が頻繁に発症する場合、予防的に抗生物質を長期的に使用することがあります。 同様に、性交後に抗生物質を摂取する方法や、低用量で毎日摂取する方法などもあります。

しかし、耐性菌発生の観点からは長期間の予防内服は推奨されておらずケースによると考えられます

 その他の治療法

抗生物質以外にも、膀胱を温めることで症状改善を早める方法や、排尿を促進するための薬物が併用されることもあります。

※ほかに原因がある場合(尿路結石、尿路悪性腫瘍等)は、同時に原因を除去する方法を考え優先順位が高ければそちらから行わないと膀胱炎の改善に至らないこともあります。当院では泌尿器科の専門医が総合的に診察をさせていただきます。

 

 反復性膀胱炎の予防法

反復性膀胱炎の予防には、生活習慣の改善が大切です。

排尿の管理

定期的に排尿することは、膀胱の清潔を保つためには非常に重要であると考えられています。

水分摂取

十分な水分を摂取することも予防に効果的です。 尿を頻繁に排出することによって、膀胱内に細菌を繁殖させにくくします。

その他の要因

尿道に便の細菌が入り込むことは膀胱炎の発症のリスクになります。排尿後の拭き方に注意が必要で、前から後ろに拭くことが推奨されています。

 最新の知見と研究動向

近年、反復性膀胱炎の治療法や予防法に関する研究は進んでおり、新しい治療法予防法の開発が進められています。例えば、プロバイオティクスの使用が膀胱炎の予防に有効であるとの報告もあり、腸内フローラの改善が膀胱の健康に良い影響を与えています

また、抗生物質の耐性菌問題が本格化する中で、非抗生物質的な治療法(例えば、細菌の感染を抑制するワクチンの開発など)も注目されてきています。

また別の記事でのご紹介にはなりますが、反復性膀胱炎には女性ホルモン関連性に発生するものもありますので定期的に女性ホルモン類似物質をサプリメントで投与すると再発の頻度が抑えられ快適に生活できる期間が長くなることもあります。症状でお困りの方はご相談いただければと思います。

 

参考文献

■論文情報
論 文 名:Homology of Escherichia coli isolated from urine and vagina and their antimicrobial susceptibility in postmenopausal women with recurrent cystitis
邦 題 名「閉経後女性の反復性膀胱炎における尿中および膣内大腸菌の相同性と抗菌薬感受性」
掲 載 紙:Journal of Infection and Chemotherapy
著  者:Takanori Sekito, Takuya Sadahira, Hidetada Hirakawa, Ayano Ishii, Koichiro Wada, Motoo Araki