
健康診断や人間ドックで「尿中白血球が多い」「尿検査で白血球陽性」と指摘されたことはありませんか?
尿に白血球が認められると、膀胱炎などの尿路感染症を心配される方も多いと思います。
しかし、尿中白血球が増えているからといって、必ずしも細菌感染が起きているわけではありません。
また、尿検査で細菌が見つかった場合でも、症状がなければ抗菌薬による治療が不要なことがあります。
今回は、尿中白血球が増える原因、膀胱炎との違い、必要な検査や治療について解説します。
尿検査の白血球陽性とは?

白血球は、細菌などの病原体から体を守る免疫細胞です。
尿中に白血球が増加している状態を「膿尿(のうにょう)」と呼びます。
尿検査では、試験紙による白血球エステラーゼ反応や、尿沈渣による顕微鏡検査などで白血球を調べます。
白血球が増える主な原因として、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎などの尿路感染症が挙げられます。
一方で、尿路結石や感染症以外の炎症、採尿時の分泌物の混入などでも白血球が認められることがあります。
そのため、白血球陽性という結果だけで病気を確定することはできません。
尿中白血球が増える主な原因
1. 膀胱炎
膀胱炎は、尿中白血球が増える代表的な原因です。
特に女性に多く、次のような症状がみられます。
✅排尿時に痛みがある
✅トイレが近くなる
✅急に強い尿意を感じる
✅排尿後も尿が残っている感じがする
✅下腹部に不快感がある
こうした症状と尿検査の結果を組み合わせて診断します。
ただし、白血球陽性のみで膀胱炎と診断することは適切ではないケースも存在します。
2. 腎盂腎炎
腎盂腎炎は、腎臓に細菌感染が生じる病気です。
発熱、悪寒、背中や腰の痛み、吐き気などを伴うことがあります。
膀胱炎と異なり、全身状態が悪化することもあるため、早期の診断と治療が重要です。
特に、高熱や強い腰背部痛、嘔吐などがある場合には、速やかな医療機関への受診が必要です。
3. 前立腺炎
男性では、前立腺炎によって尿中白血球が増加することがあります。
急性細菌性前立腺炎では、発熱、排尿痛、会陰部の痛み、排尿困難などが生じる場合があります。
一方、慢性的な骨盤部の痛みや排尿症状があっても、細菌感染が確認されないケースもあります。
症状や経過に応じた評価が必要です。
4. 尿路結石
腎結石や尿管結石などでも、尿路の炎症により白血球が認められることがあります。
血尿や腰背部痛を伴う場合もありますが、症状が乏しいケースもあります。
結石に感染が合併し、尿路が閉塞している場合には緊急の治療が必要になることがあります。
5. 採尿時の混入や感染症以外の原因
女性では、腟分泌物などが尿に混入することで、尿中白血球が多く検出される場合があります。
また、尿道炎、薬剤性の腎障害、その他の尿路の炎症などでも白血球が増えることがあります。
尿検査の結果に疑問がある場合には、適切な方法で採尿し、再検査することも重要です。
尿に白血球が多いのに症状がない場合は?
ここが特に重要なポイントです。
尿中白血球が増加していても、排尿痛や頻尿、発熱などの症状がない場合、必ずしも抗菌薬による治療が必要とは限りません。
また、尿中に細菌が存在していても、尿路感染症の症状がない状態を「無症候性細菌尿」と呼びます。
無症候性細菌尿は、特に高齢者や排尿機能に問題がある方などで認められることがあります。
尿中白血球の増加と無症候性細菌尿は同じものではありません。
白血球は炎症を示唆する所見であり、細菌尿は尿中に細菌が存在することを示します。
細菌尿の有無を正確に評価するには、必要に応じて尿培養検査を行います。
症状がなくても抗菌薬を飲んだ方がいい?
一般的に、妊娠していない成人で尿路感染症の症状がない場合、無症候性細菌尿に対する抗菌薬治療は推奨されません。
これは、治療による利益が確認されていない場合が多く、不必要な抗菌薬の使用によって薬剤耐性菌の増加や副作用などの問題が生じるためです。
特に、健康な非妊娠女性、高齢者、糖尿病患者などでは、無症候性細菌尿を一律に治療することは推奨されていません。
ただし、例外もあります。
抗菌薬による治療が必要になる代表的なケース
妊娠中
妊婦の無症候性細菌尿は、腎盂腎炎などのリスクに関係するため、尿培養による評価と適切な治療が推奨されています。
尿路粘膜に干渉する泌尿器科手術・処置の前
経尿道的手術など、尿路粘膜を損傷する処置を予定している場合には、無症候性細菌尿であっても術前の評価と抗菌薬治療が必要なケースもあります。
ただし、すべての検査や処置で同じ対応が必要というわけではありません。
このように、症状の有無だけでなく、患者さんの状態や予定されている医療行為によって治療方針が異なります。
尿中白血球が多い場合、どのような検査をする?

泌尿器科では、症状や検査結果に応じて必要な検査を選択します。
尿検査・尿沈渣
尿中白血球や赤血球、細菌の有無などを確認します。
必要に応じて再検査を行い、検査結果が持続しているかを評価します。
尿培養検査
細菌感染が疑われ、原因菌の確認が診療上必要な場合には、尿培養検査を行います。
尿培養では、原因となる細菌の種類や抗菌薬への感受性を調べることができます。これにより今後感染症を起こした時の正確な診療の助けとなる情報が得られます。
超音波検査(エコー)
尿路結石、尿路閉塞、残尿などが疑われる場合には、腎臓や膀胱などの超音波検査を行うことがあります。
その他の検査
症状や経過によっては、血液検査、性感染症の検査、画像検査などを追加する場合があります。
尿中白血球の異常だけを理由に、すべての方へ精密検査を行うわけではありません。
尿中白血球が多いと言われたら、泌尿器科を受診すべき?
尿中白血球が陽性であっても、症状がなく、一時的な異常であれば、必ずしも緊急の受診が必要というわけではありませんが
基本的には検出されない状態が正常であるため、一度は泌尿器科への相談をおすすめします。
▶排尿痛、頻尿、残尿感などの症状がある
▶尿中白血球の異常を繰り返し指摘される
▶血尿を伴っている
▶尿路結石や尿路感染症を繰り返している
▶尿が出にくいなどの排尿障害がある
▶検査結果について原因が分からず不安がある
また、発熱や悪寒、強い腰背部痛、尿が出ないなどの症状がある場合には、早急な診察が必要です。
まとめ|尿中白血球陽性=膀胱炎とは限りません

健康診断などで尿中白血球が多いと指摘されても、必ずしも膀胱炎や細菌感染があるとは限りません。
重要なのは、尿検査の結果だけで判断するのではなく、排尿症状、発熱の有無、既往歴などを総合的に評価することです。
また、無症候性細菌尿に対しては、抗菌薬による治療が不要なケースも多くあります。しかし、このようなわずかな変化から他の泌尿器疾患(膀胱腫瘍、尿路結石等)の診断につながるケースは少なくないため病気の否定をするための必要最低限の検査は必要です。
不必要な抗菌薬の使用を避け、必要な場合には適切な検査と処置を行うことが大切です。
大田区東雪谷のゆきがや泌尿器クリニックでは、尿検査異常、膀胱炎、血尿、尿路結石などの診療を行っています。
健康診断で尿中白血球の異常を指摘された方や、尿検査の結果について不安がある方は、お気軽にご相談ください。
ゆきがや泌尿器クリニック 三山 健
泌尿器科専門医が、症状や検査結果に応じて適切な診療をご提案いたします。
参考文献
-
European Association of Urology. EAU Guidelines on Urological Infections. 2026.
-
Nicolle LE, et al. Clinical Practice Guideline for the Management of Asymptomatic Bacteriuria: 2019 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clinical Infectious Diseases. 2019;68–e110.




