
夏もいよいよ終わりに向かっていますが、まだまだ猛烈な暑さが続いております。皆様、熱中症にはどうぞ気を付けでください。さて、本日は頻尿に関するお話です。
先日、子供と一緒にしまじろうコンサートに行ったときのこと、1500人以上の人が一つの会場で映画館のようなシートに座り2時間程度のショーを鑑賞するよくあるスタイルでした。トイレは1階と2階に1か所ずつ、当たり前ですがどちらも大混雑となっていました。その時に改めて考えたことは、これでは頻尿の方はこの状況が不安で仕方ないだろうということと、トイレが気になって会場にいる時間そのものがストレスになっているのだろうと思いました。そのような場合、最後にする判断は、、、『鑑賞というイベントをあきらめる』、、、ということです。日頃診療を行っていて頻尿をお持ちの皆様のお困りの事の多くは、頻尿があることでその先にあるであろう楽しいイベントごとをもう仕方ないとあきらめざるを得ないということです。『昔から演芸が好きでよく見に行っていたのだけれどもういけない』、『孫の保育園や学校のイベントごとにもトイレが気になって参加ができない』『公共交通機関を使っての友達との旅行も行けない』など、好きなことをあきらめてしまう傾向にあるように感じます。
そんな誰の身近にも潜む『頻尿』一般的にはどのような検査、治療を行うのかを説明いたします。
頻尿について ― 原因・検査・治療法のご案内
頻尿とは?
「頻尿」とは、昼間や夜間に何度もトイレに行きたくなる状態を指します。一般的には 日中の排尿回数が8回以上、あるいは夜間に1回以上起きて排尿する場合に頻尿と考えられます。
年齢とともに増える症状ですが、生活習慣病や泌尿器疾患が隠れていることもあるため、放置せずに泌尿器科での診察が推奨されます。
頻尿の主な原因
過活動膀胱(OAB):膀胱が過敏に収縮し、急な尿意や尿失禁を伴うことがあります。
✅ 前立腺肥大症(男性):前立腺の腫大により尿道が圧迫され、残尿や頻尿の原因となります。
✅ 膀胱炎や尿路感染症:女性に多く、排尿時の痛みや血尿を伴うことがあります。
✅ 糖尿病・高血圧などの基礎疾患:尿量の増加や膀胱機能の低下を引き起こすことがあります。
✅ 加齢や骨盤底筋の衰え:特に女性の出産後や更年期以降に増加します。
頻尿の検査方法
泌尿器科では以下のような一般的な検査を行います。
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尿検査:尿路感染や血尿の有無を確認。
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超音波検査(エコー):膀胱や前立腺の状態(男性場合)、残尿量を調べます。
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尿流測定(ウロフローメトリー):尿の勢いや出方を評価。
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尿細胞診や膀胱内視鏡:必要に応じて膀胱がんなどの精査も行います。
頻尿の治療方法
症状の原因によって治療方針が異なりますが、以下の治療が行われます。
✅ 生活指導 水分・カフェイン摂取の見直し、骨盤底筋体操(ケーゲル体操)など。
✅ 薬物療法
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過活動膀胱には抗コリン薬やβ3作動薬
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前立腺肥大症にはα遮断薬や5α還元酵素阻害薬
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✅日帰り手術 薬で改善しない前立腺肥大症には、内視鏡手術やレーザー治療が有効です。
✅感染症治療 膀胱炎であれば抗菌薬の投与で速やかに改善します。
治療効果と改善率
頻尿は原因に応じて適切に加療することで、多くの方に改善が見込めます。
✅過活動膀胱:薬物療法で 約70%の方が症状改善
✅前立腺肥大症:薬物療法で 約60〜70%が改善、手術では 80%以上に有効性があり(適応は個人差があるため診察にて判断いたします)
✅膀胱炎などの感染症:抗菌薬で ほぼ100%が改善
このように、頻尿は「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はなく、原因を明らかにして治療すれば高い改善効果が期待できます。
まとめ
✅頻尿は生活の質(QOL)を大きく下げる症状ですが、泌尿器科での検査と治療により多くの場合コントロールができます。長年の趣味や好きなことを無意識にあきらめてしまったりすることはご自身の人生にとって大きな損失を出してしまうことになります。一緒に適切な治療を行うことで楽しみを取り戻してゆきましょう。
「夜何度も起きて眠れない」「外出が不安でトイレばかり探してしまう」といったお悩みがある方は、ぜひ早めにご相談ください。