尿のトラブル
尿のトラブル
毎日当たり前にするおしっこですが、突然経験したことのないような症状が出ることがあります。びっくりする方も多いですが、何かしら病気の見つかるきっかけにもなる可能性が高いため専門科への早めの受診が必要です。
血尿(Hematuria)は、尿中に異常な量の血液が含まれている状態を指します。血尿は異常な尿の色(ピンク、赤褐色、茶色など)や、顕微鏡的に血球が確認されることで診断されます。血尿はさまざまな原因によって引き起こされる可能性があり、原因を特定するためには専門科による評価が必要です。
血尿の主な分類には以下の2つがあります。
血尿が継続する場合や他の症状とともに現れる場合は、特に迅速な専門科による評価が重要です。
加齢の変化で骨盤底の筋肉が弱くなり、子宮や膣壁が正常の位置より病的に下垂する病気です。進行すると膣外に子宮、膣、膀胱、腸管などの臓器が排出される状態になります。更年期以降の女性に認められ、お産経験がある女性の約半数に生じるともいわれています。
軽度では自覚症状がなく、進行すると尿失禁や頻尿、異物感などが生じてきますが、脱出部位により、症状は様々です。治療は体操(骨盤底筋訓練)、ペッサリー(膣内に器具を入れて下垂を抑える)療法、手術療法があり、症状や年齢によって選択されます。基本的に臓器脱は手術をはじめとした物理的な療法が適応になることが多く、投薬の効果は得られにくいとされています。また婦人科での治療が必要になることもあります。
過活動膀胱(Overactive Bladder, OAB)は、膀胱の筋肉が異常に過活動で、意図せずに収縮することによって引き起こされる症状の総称です。この状態により、尿意を感じずに急に尿がもれる(尿失禁)、頻尿、夜間頻尿が生じることがあります。過活動膀胱は比較的一般的で、年齢や性別に関係なく発症することがありますが、特に高齢者や女性に多い傾向があります。
過活動膀胱の主な症状には以下が含まれます。
過活動膀胱の原因ははっきりしていない場合がありますが、神経系の問題、膀胱の筋肉の異常な刺激、感染症、膀胱結石、または炎症などが関与する可能性があります。
神経因性膀胱(Neurogenic Bladder)は、神経系の障害によって引き起こされる膀胱の機能障害を指します。神経因性膀胱は、中枢神経系(脳および脊髄)または末梢神経系(膀胱周辺の神経)の損傷によって、正常な膀胱の収縮と弛緩の調整が妨げられた状態を示します。これにより、排尿や膀胱の充満が適切に制御されなくなります。
主な原因としては以下が挙げられます。
最も一般的な原因であり、脊髄の損傷が神経伝達を妨げ、膀胱機能に影響を与えます。
神経系の疾患や障害、例えば脳卒中、多発性硬化症、脳性麻痺などが神経因性膀胱を引き起こすことがあります。
3.長期にわたる糖尿病が神経組織に損傷を与え、神経因性膀胱を引き起こす可能性があります。
神経因性膀胱の症状には、尿漏れ、頻尿、残尿過多、排尿障害などが含まれます。診断は、患者の症状、病歴、神経学的な評価、および検査(例:尿検査、膀胱造影、尿流検査、)に基づいて行われます。
治療は原因や症状により異なりますが、一般的には薬物療法、膀胱の訓練、物理療法、外科手術などが行われることがあります。疾患そのものの完全な改善は難しいことが多い領域になりますので、症状管理や生活の質の向上を目指すことが最も重要です。
尿失禁(Urinary Incontinence)は、意図せずにおしっこがもれる状態を指します。これは一般的な問題であり、年齢や性別に関係なく発生する可能性があります。尿失禁は異なるタイプがあり、その原因や症状は様々です。以下に、主な尿失禁のタイプとその特徴について説明します。
腹圧が急激に上昇するときに尿がもれる。例えば、咳、くしゃみ、笑い、体を起こすなどが誘因となりやすい。
骨盤底筋の弱体化、妊娠・出産、加齢、手術などが原因となることがある。
急な尿意を感じ、トイレに行く前に尿がもれる。頻尿も伴うことがある。
膀胱筋の過活動、神経因性膀胱、感染症、膀胱炎などが原因となることがある。
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状が同時に現れる。
複数の要因が組み合わさって発生することがあります。
体の動きや認知機能の問題により、トイレに間に合わずに尿がもれる。
老化、身体の制御機能の低下、認知症などが関与することがあります。
膀胱内に過剰に尿がたまり限界を超えて漏れてしまう。尿意を感じないことがある。
尿の通り道の閉塞、膀胱の筋肉の損傷、神経因性膀胱などが原因となることがあります。
尿失禁の治療法は症状や原因によって各々異なります。薬物療法、物理療法、挿入物の使用、手術などが行われることがあります。当院では特に腹圧性尿失禁に対する磁気治療医療機器を導入しております。ご希望の方は相談ください。